まるさん牧場の近江牛/湖南市ブランドストーリー

近江牛というブランドに甘える事なく、更なる高みを目指し、
兄弟二人三脚で獲得した数々の賞。
ただひたすらにシンプルに「食べて美味しい牛肉」を追求し、
手間ひま惜しまず牛と向き合い試行錯誤の日々を重ねた、
まるさん牧場が実現したこだわりの肥育環境をご紹介します。

祖父から叔父へ引き継がれた事業を兄で専務取締役の裕一さんと共に引き継ぎ、まるさん牧場を経営。美味しい肉質にこだわり、メスの近江牛のみ専門に取り扱っています。湖南市下田に位置する自然に恵まれた環境とこだわりの肥育方法で育てられた牛は、肉質を競う大会で数々の賞を獲得し名実ともに滋賀県を代表する畜産農家さんです。

株式会社まるさん牧場
代表取締役北島聖二さん

牛舎・兄弟と牛

日本三大和牛の一つとも言われる近江牛は豊かな自然と良質な水で育てられ、特に牝牛は脂の融点が低く口の中でとろけるまろやかさが特徴です。そのルーツは古く、江戸時代の頃にはすでに彦根藩で食されていたという文献も。日本最古のブランド牛ともいわれる由縁です。
近江牛といっても各畜産家によって肥育の方法は様々。北島さんは「競りでの目利きと育て方が、高品質な肉牛に肥育できるかのカギになります」と。競りでは子牛の親の情報などを基に長年培ったノウハウでいい子牛を厳選して購入しているそうです。
まるさん牧場では、メスのみを肥育して近江牛として出荷しています。去勢牛と呼ばれる去勢された雄牛の流通が増えている現在でも昔ながらの牝牛にこだわった希少な牧場です。毎日全ての牛を気にかけ見て回ることで食欲不振や不調に気付くことができます。牛によって体調や性格も千差万別。1年365日牛たちと向き合うことで品質を追求しています。

飼育環境はとても重要。まるさん牧場は、牛舎が一般道から隔離されていて牛にとってストレスの少ない環境です。日中には牛たちがよりリラックスできるように音楽を聴かせのんびりと過ごせる環境を作っています。更に牧場に湧き出る鈴鹿山系のミネラル豊富な地下水を地下80メートルからポンプで汲み上げる自動給水システムで牛たちは常に新鮮な水を飲むことができます。そのため、地下水に影響が出ないよう、牧場内では除草剤を使わずに草刈りをしています。
何よりも牛舎内の清掃も徹底していて、牛舎独特の匂いも少なく、清潔で快適な牛舎は牛にとっても快適な空間です。牛舎を綺麗に保つことは牛たちのケガも防止してくれます。ぎゅうぎゅう詰めではなく一部屋に2~4頭とゆったり生活して貰う事で、ストレスフリーな環境を作り心身ともに健康を保たれ、結果としておいしいお肉につながっています。

受賞に至った秘訣は飼育方法の改良。「食べたものが体を作る」と、牛を大きくするよりも肉質・脂質が最高になるように試行錯誤を繰り返し、やっとたどり着いた独自ブレンド飼料。
牛たちの成育具合や体調に合わせて、国産の稲わらや、管理が難しい生米ぬかを使用するなど悪戦苦闘の長い日々と苦労の末のオリジナル配合の飼料は、香りが良く舌の上でとろけるような良質な脂を生み出します。
兄弟二人三脚での努力と苦労は実を結び、数多くの賞を獲得するまでに。神戸牛や松阪牛など全国でも知名度の高いブランド牛を擁する県が多く参加することから全国的にも注目されている、近畿東海北陸連合肉牛共進会で令和元年に最優秀賞に輝く。「この賞が今までで一番嬉しかった」と専務の裕一さんが誇らしく語ってくださいました。手間がかかっても欠かせない。このこだわりが数々の賞となりました。

まるさん牧場の起源は北島さんの祖父から始まります。祖父が馬喰（牛の売買・仲介をする商人）を始めた当初、食用の肉牛は取り扱っておらず、農家でトラクター代わりに使われていた牛を仲介して農家から農家へ売買していました。売り先が見つかるまでは家で牛の世話をしていたそうです。
その後叔父に代替わりしたタイミングで畜産をスタートし、肉牛を取り扱うように。そして叔父から北島さん兄弟が引き継ぎ今のまるさん牧場に至ります。祖父、叔父の基盤を兄弟で工夫し努力を重ねブラッシュアップした事で、評価の高い近江牛を生産する牧場に成長しました。まるさん牧場が目指すのは、ただシンプルに、「食べて美味しい牛肉」をみなさんに届ける事。「命あるものだからこそ大切に育てて美味しい肉牛にすることにこれからもこだわり続けます」と意気込みを語ってくださいました。