天然酵母、国産小麦粉、オーガニック素材、
地元で採れた旬の野菜や果物などを使い、副材料を極力減らし、一つずつ全部手作り。
娘さんのアトピーがきっかけで生まれたパン屋「天然酵母パンメイアンドさつき」。
母の愛情あふれる特製パンについてご紹介します。
京都出身。結婚出産を経て湖南市へ移住。娘さんがアトピー性皮膚炎を持っており、「食事で改善できないか」と健康的な食事を心掛けるように。元々パンが大好物で、京都に住んでいた頃は無添加が自慢のパン屋さんが多かったものの、湖南市には納得できるパン屋が見つからず、「自分で作ろう」と決心。「家族や自分が安心して食べ続けられるよう」という思いのもと独学でパン作りを学び、27年間美味しいパンを焼き続けています。
天然酵母パン メイアンドさつき
代表 筒井和恵さん
33年前、筒井さんに大きな転機が訪れました。それは長女の誕生です。初めての子宝に恵まれた幸せを感じると同時に、アトピー性皮膚炎を持つ娘に対して何かできないかと考えを巡らせました。母乳で育児をするにあたって「母親の食事も子供に影響するのでは」と思い至り、まずは筒井さん自身が健康的な食事を徹底するように。娘さんが産まれてからパンを購入する際の決め手は「無添加で作られたものかどうか」でした。
当時住んでいた京都はパンの消費量が全国トップクラスで、パン屋さんも多く、無添加のパンを取り扱うお店が多かったそうです。ところが数年後に移住してきた湖南市には筒井さんが納得できる無添加のパン屋さんが見当たらずに困ってしまったとのこと。ここで諦めないのが筒井さん。「お店が無ければ自分で作ろう」と、独学でのパン作りが始まりました。
パン作りを続け試行錯誤を繰り返し、いつしか筒井さんのパンのスタイルが確立されました。それは「天然酵母、国産小麦、有機認定された食材を使用し副材料を極力減らす」というもの。しかも全行程が手作りで、手ごね、発酵、焼きに至るまで自宅キッチンで行っていました。スタイルを確立すると共に、ご自身が移住後に困った経験から「自分と同じ悩みを持つ人の助けになるのでは」と考え、「天然酵母パンメイアンドさつき」をオープンするに至ります。
オープン当初は配達のみでの販売でしたが筒井さんの予想通り、アトピーや食事制限などの悩みを抱える方の間で評判となり、口コミで大人気になりました。ついにはDIYで自宅に工房と店舗を増築し、いつでもお客さんが足を運べる「街のパン屋さん」に。現在は飲食の営業許可も取得し、イートインスペースでお客さんと交流しながら暖かい雰囲気あふれる地元に根差したパン屋さんとなりました。
厳選した素材にこだわりパンを作り続けてきた筒井さんですが、ある時お客さんから「無塩のパンを作って欲しい」とのリクエストがありました。通常、パンの原材料には風味から想像できないほど多くの塩が使用されています。というのも塩はパンに風味を加えるだけでなく、酵母の活動を遅らせ生地の過度な発酵を防いだり、焼き上がりの生地に弾力を持たせたりと様々な効果を持っています。だからこそ通常のパンは塩分が高くなってしまうのです。その為、高血圧や腎臓に疾患を抱え、塩分制限をされている方はパンを諦めてしまいがちです。そんなお客さんからの悩みに筒井さんは真摯に向き合いました。今まで培った経験から塩を使わずとも素材本来の味が感じられる「塩なしパン」を編み出し、お客さんの食の悩みを解決しました。
当初は「疾患や食事制限で悩む方の助けになれば」と考えてのパン作りでしたが、現在では特別な疾患を抱えているわけではないお客さんからも好評です。あるお客さんからは「ちょっと疲れた時に食べたくなるパン」と命名されている程、素朴な味で体調が悪い時でも食べやすいと人気です。ジャンクフードのように添加物や塩分、脂肪分がたっぷり入った食べ物とは対極にあり、弱った体でも受け付ける「メイアンドさつき」のパンは、多くのお客様に愛されています。
娘さんの誕生をきっかけに何でも自分で作り上げ、人の悩みに寄り添ってきた筒井さんだからこそ作り出せる特製こだわりパン。食の悩みを抱える方はもちろん、健康に気を使ってみようという方にもおすすめです。母の愛が生んだ、素材本来の味を感じることができるパンを一度お試ししてはいかがでしょうか。